子ども達は「遊び」が大好きです。

「遊び」ってなに?
どうして「遊ぶ」ようになるの?
こちらをご覧下さい。その1  その2  その3

さて遊んでいる様子を分析してみると、典型的には2つのタイプがあるように思えます。

1)機能的な遊び
 ある種の機能、技能を獲得するような「遊び」

2)イメージを膨らませた遊び
 機能、技能だけではなく、なんらかのイメージを持ち、それを活かし発展させるような「遊び」

実際には程度の差があるにしても、2つのタイプのどちらの要素も含まれているでしょう。

1)のタイプの典型的なものとして、鉄棒での技の習得に向けた活動
あそび-1
この写真では逆上がりをしています。<もうちょっとで出来る!>また出来ると、<うれしくて!うれしくて!>なんども繰り返して行います。

1)の典型的なタイプでは、機能、技能を完璧に獲得してしまったら、もうそれは「遊び」としての活動はなくなってしまうことです。そこには「遊び」として成立させている「ゆらぎ」がなくなっているからです。

更なる別の機能、技能を求める活動へと、自ら作り出していくか、周りから誘発されていくか、で次の展開が見られます。
子どもが自ら課題を作り出しているとは限りません。ほっておいたらお終いになる場合も多くあります。
幼稚園などでは保育者の働きかけが重要になるわけです。その働きかけこそ、教育目標になるわけです。働きかけは直接的な指導だけとは限りません。言葉掛けしなくても、子ども達がやる気になるような環境設定こそまず始めにすべきでしょう。

1)のタイプですが、完全な機能的ではなく、イメージの部分も入っているものとして、棒登り
あそび-2
ジャングルジム
あそび-3
などがあります。
子ども達は棒やジャングルジムになんらかのイメージをもって遊んでいるようです。
棒を登る、ジャングルジムに登るには、それなりの機能、技能が必要になります。単純に<登れることがうれしい>ばかりではありません。棒が「エレベーター」になったりジャングルジムが「基地」になったりで、イメージが膨らんでいくでしょう。
機能、技能が完全に獲得されても、イメージが変化すれば、「遊び」が継続します。

こんな例もあります。屋根登りです。
あそび-4
屋根を登るという機能的な遊びですが、屋根の下では特別な機能、技能を必要としませんね。
ままごとが始まったりします。

典型的な2)のタイプ 「ままごと」の場面です。
あそび-6

また三輪車で漕げるようになっている子ども達とは、
交通標識をつけて 2)のタイプとして
あそび-5
「道路での車の運転」として遊びます。

機能、技能を<単純に>求めるのか、それを習得し、活かすのに「イメージ」を利用し、膨らませるのか、
幼稚園や保育園などの教育、保育機関でも、家庭でも、ちょっと分析して考えてみませんか。

昭和幼稚園のホームページへもお越し下さい。
4月初めに入園した年少児。

お母さんと離れて不安いっぱい。大泣きで登園、不安そうな顔、泣きたい気持ちをじっと堪えている顔、ちょっとしたことで泣いたり、・・・

それでも4月も終わり頃になると、年上の園児達の行動を見て、先生の誘いかけなどから
「どこで遊ぼうかな!」「滑り台楽しいな!」「はやくお弁当食べたいな!・・・
次第に園での生活に慣れてきました。

そこで、クレパスを持って紙の上で「お散歩」をしました。
ぐるぐる-1
大きく腕を「ぐるぐる」動かして紙の上を「歩きます。」

色を変えて、また「ぐるぐる」、ちょっと「駆け足」で「ぐるぐる」
ぐるぐる-2
おおきな「ぐるぐる」、ちっちゃな「ぐるぐる」、いろいろな色の「ぐるぐる」・・・

いっぱい、いっぱい、たくさんの「お散歩」ができました。
ぐるぐる-4

ぐるぐる-5

ぐるぐる-6

ぐるぐる-7

まだ不安だと、ギザギザ線、薄い線、・・・、上のような「滑らかな」曲線は現れません。

ここに掲載した絵の子ども達はみんなニコニコ顔で「お散歩」したみたいですね!

出来上がった絵を先生が「紙芝居」にしてみました。
ぐるぐる-3

「おいしそうなドーナツ!」次は「なにかな?」・・・子ども達に誘いかけていきます。
「お好み焼き!」子ども達から答えが返ってきます。
「お散歩」が食べ物やいろいろなものに変身していきます。

楽しい「お散歩!」、楽しい「紙芝居!」
こんな活動から「概念形成」「言葉」の獲得、形成へ発展していきます。

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4月中頃より5月初旬は「鯉のぼり」の季節ですね。

鯉のぼりの姿をどのように思い浮かべますか?
ほとんどの大人は「たいやき」みたいなものが横に並んでいる・・といった印象でしょうか?
一般に年長児くらいになると、そのような姿を描きます。
しかし、鯉のぼりをほんの数分間でも眺めていると、いろいろ変化します。

風がきて勢い良く泳ぎ始めるところ
こいのぼり-9

安定した風でいかにも「気持ち良さそう」に泳いでいるところ
こいのぼり-10

急に風向きが変わって「あわてて」いるようなところ
こいのぼり-11

風の状態によって鯉のぼりの様子が変化し、まるで「生きて」いるようで、見ていて飽きません。
子ども達も、そんな姿を興味深く眺めています。

そんな鯉のぼりの絵を年長児が描きました。
2012年4月17日の記事で書いたように、
Bタイプ>なんらかの「動作」の結果として「絵」になっちゃった。
の方法で行っています。

「何を描こうか」など告げずに、クレパスを横に持って、腕を肩を中心として思い切り紙の上で動かすように誘っていきます。
こいのぼり-2
色を変えて、何度も何度もやっていると
こいのぼり-1

風で吹かれている鯉のぼりの様子に見えてきませんか!
こいのぼり-3

「ああ〜おもしろい!目や鱗をつけて、鯉のぼりになっちゃった!」
こいのぼり-4

こいのぼり-5

こいのぼり-6

どうです!素敵なぐ鯉のぼりでしょう!あたかも風に吹かれて「生きている」ようでしょう!

こんな描き方は1995年5月に当時の園児達とクレパスで遊んでいたことがきっかけとなって始めました。
その最初の記念すべき第1号の「鯉のぼり」たちです。
こいのぼり-7

こいのぼり-8

2011年12月20日の記事「腕の動かし方ー描画活動との関連」も見て下さい。

一人一人それぞれの鯉のぼりが出来上がりました。
<実物に「似ている」から「上手」>と言った安直な「評価」など木っ端みじんに打ち砕かれるでしょう!

昭和幼稚園のホームページにもお越し下さい。
名古屋市にあるトヨタ産業技術記念館に行ってきました。
トヨタ-1

織機の開発から出発し自動車産業へと発展したトヨタの歴史を展示している所です。織機、紡織関係の展示と自動車関係の展示がメインです。赤煉瓦のかつての建物を活用してノスタルジーを感じさせる雰囲気、またJR名古屋駅に近くて交通の便もよい所です。

私が10歳まで、私の両親は織物関係の仕事をしていました。織物工場で生活をしていましたから、毎日織機の音とともに生活がありました。トヨタ産業技術記念館では自動織機を定期的に運転しているので、<ガシャン、ガシャン、・・・・>という懐かしい音を聞きに、何回か出かけて動作の光景を眺めています。
100年ほど前に、豊田佐吉が発明した自動織機はバネ、歯車などの機械部品の動作で自動運転(人手を極力減らした)を成し遂げた画期的な織機だったそうです。
トヨタ-2

また織機の上に<ドビー>という機械が載っているのを見ました。糸の動きを制御して模様のある生地を織るものだったと思います。もっと複雑な動きにしたものが、<ジャカード>という機械だったかな。動きを制御する方法は、ピンをつけた板を並べて、または穴の空いた板を並べて、ピンや穴の位置で機械の動きを制御していたと思います。ピンや穴の位置を変えることで、織る模様を変えるわけです。父がグラフ用紙を使ってピンの位置の設定をあれこれと検討していたのを思い出します。
トヨタ-3

トヨタ-4

今回ここにいったのは、蓄音機の展示と演奏があったからです。
トヨタ-5

蓄音機は電気を使わないで、レコード(SP盤)から朗々とした音が出てくる機械です。
機械部品の動きだけで、立派な音が出てくるのが何とも新鮮な感覚です。
トヨタ-6

トヨタ-7

現在の音響器械のように、音量の調節も出来なければ、出てくる音の低音から高音にかけての帯域も狭いし、小さい音大きい音の幅も狭いし、ノイズもあるし、・・・と欠点が多くあるももの、なんと心地よい音が出てくるのでしょう。

今回の展示で見た自動織機、ドビー、蓄音機などの物は機械機構(バネ、歯車などの機械部品)で制御する物で、その制御の仕方、有様は感覚的に判りやすいものです。電気、さらにコンピュター、などで制御するとブラックボックス化して、感覚的にどのようになっているのか不明です。
現在の高度に進化した機構では、コンピュータなどを使用した制御でなければ実行不可能ですが、ここ数十年の間に生じた「変革」なんですね。
人間の感覚のありかたにとって、どのような変革をもたらしていくのか、大いに興味のあることです。
私達は感覚器官を通して<いろいろな状態>を感知していきます。
<いろいろな状態>のなかで、身近で日常生活にも関わり合いの深いものの中には、
「物の大きさ(長さ、広さ、体積)」、「重さ」、「温度」、「時間」・・・・
などといった、自然界を記述するに必要な基本的な「物理量」があります。
「物の大きさ」は主に視覚によって感知されます。
「重さ」はどうでしょう。
手に持ったときの緊張感(皮膚感覚、筋骨の作用)を通して感知されます。
「温度」はどうでしょう。
皮膚に接触することによって引き起こされる皮膚感覚を通して感知されます。
「時間」は? これは単なる感覚器官を通して感知される情報だけでなく、情報を処理する過程が必要です。

<感知する>とは?
ある状態の存在を知る、だけでなく、状態を系列化していくことです。
「物の大きさ」だったら、存在するだけから「大きい」「小さい」という系列化に繋がっていきます。
単純に棒であれば、2つの棒をくっつけて<1対1比較で>「長い」「短い」(大きさの1次元表示)として系列化していくことになります。
「重さ」の場合は「重い」「軽い」という系列化ですね。
2つの物を片方は右手に、もう片方は左手に持ち(1対1比較)、両手に感ずる「緊張感」の差で「重い」「軽い」の系列化をしていきます。
「温度」の場合も「熱い」「冷たい」の系列化は皮膚感覚の差に依っています。
(ここまでのことはモンテッソーリ感覚教材でいろいろと取り揃えられていますね。)

ところで、微妙な「重さ」の違いや「温度」の違いは皮膚感覚では見分けにくいものです。
そこで「はかり、秤、計測器」の登場となります。
単純な秤を思い起こしてみましょう。
天秤です。2つの物を2つの皿に載せ、下がった方が「重い」・・・
精密に重さを測るのにも精密な天秤を使用したでしょう。
微妙な皮膚感覚の差を「天秤」の皿の上下運動に変換して、視覚情報として感知しているわけです。
温度調べ-5

「温度」も水銀柱やアルコール柱の長さの変化に置き換えて(温度計)、視覚情報として感知するようにしているのです。

人間の持っている感覚器官で一番細かいことを感知できるものは視覚でしょう。
従って、感覚器官を通して<いろいろな状態>を感知していくのに、
微妙なことにまで感知できるように、<いろいろな状態の変化>を<視覚に訴えるような状態=視覚化された状態の変化>に変換しているのです。
それが「計測器」です。

以前は科学的な計測でも、ほとんど、測定器についたメータの指針の動き(まさに視覚情報でしょう)を読み取っていたものです。
最近では<視覚に訴える状態>を通り越して<数値化(デジタル化)>しています。
重さを測る「秤」「温度計」などが良い例でしょう。

<視覚化された状態>を本来の感覚器官で感知できるものとして捉え直すことが必要となります。
ましてや<数値化(デジタル化)>されたことを、本来の感覚器官で感知できるものとして捉え直すことが必要となります。
このような<引き戻し>が有効になるには、感覚器官を研ぎすましていろいろな事象に当たることです。
幼児期こそ、このような<引き戻し>が有効になるための基礎期間でしょう。
文字化、数値化された情報を無闇に与えるより、それらの基になっている感覚に訴えることを多くなすべきでしょう。

さてさて、前置きが長くなりましたが、
本園では年長児になると当番活動に温度計を使って<温度(気温)調べ>が加わります。

皆さん!温度(気温)調べというと、どのようなことを思い浮かべますか?
温度計(最近はデジタル温度計かも)の目盛りの数字を読み取って、記録簿に書き写す・・・・

というのが一般的かな?

先に記述したように、温度計は、本来皮膚感覚に訴える情報を赤く染めたアルコール柱の変化に置き換えているのです。目盛の数値を読み取ることが、本来のことではありません。
温度調べ-1

そこで、当番は赤い紙テープを温度計に当て、アルコール柱の長さ(0度のところから)に切り取ります。
それを日毎の表に貼付けていきます。
温度調べ-2

温度調べ-3

自動的に温度の棒グラフができます。
「きょうはあついね」とか「きのうよりちょっとさむいね」などと気温の変化を温度グラフと対応させています。

卒園を迎える頃には、1年間の温度グラフを通して、気温の変化、それに対応する季節感(生活の変化、園の行事、植物の変化、服装の変化 など など)を感じ取っていくでしょう。
温度調べ-4

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プロフィール

m.k.masa

Author:m.k.masa
諸々の事柄に、なぜ?、どうして?という感覚をも持ち続けたい幼稚園園長です。
京大理学部卒、大学院修了
(うさぎ年です)

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