<宇宙からみた生命史>(小林憲生 ちくま新書)

地球と同じような環境(水が存在し、適度な温度、大気構成等)が宇宙での生命発生、存在の条件のようにいわれています。太陽系では火星はひょっとしたら、あるかもしれない、しかしその他はダメ。地球環境との比較で判断しているから。太陽系以外でも地球型の惑星を捜そうとしているように素人にはみえます。
生命現象とは?という根本的な問がなく、そこには地球で発生し存在している生命が唯一という暗黙の前提があるように思えます。
素人的な発想では、生命とは<子孫をつなげていく>という特徴があると思うのですが、如何でしょうか?
物理学的、化学的に地球型が唯一の解という証明はないでしょう。ひょっとしたら木星には地球型とは全く異なる物理化学的な生命現象(子孫をつなげていく)がある可能性も否定できないのでは。そんな妄想を抱いているのです。
そんな思いから本屋でこの本を見つけました。
シュレディンガーの生命とは「負のエントロピーを食べていきるもの」という定義を実現する現象としてアミノ酸やタンパク質、DNAにからむ現象を取り上げています。化学現象の詳細な議論には、知識不足により、ついていけない部分もありますが、アミノ酸、タンパク質が絡む現象が『負のエントロピーを食べていきるもの」を実現しているとは理解できますが、<それが唯一の解である>との説明にはいったていないように思えました。
アミノ酸、タンパク質とは全く異なる物質の絡む現象で「負のエントロピーを食べていきるもの」を実現することができないのでしょうか。
後に続く展開は大変興味深く、無意識に基準としていた地球という場から脱却した生命観をみせてくれました。
本書を通して、生物学の地動説を目指すという意義を強く感じます。
人間の認識、文化の歴史的な変化を顧みると、自己中心性からの脱却です。
天文学の天動説から地動説へ、構造主義にみられるように、文化の多元性へ・・・
それは一人一人個人の生育史でもあります。
3歳頃描いていた人物像、頭から手足が直接出ている<頭足人>からその後の脱却・・・
幼児も大人も含む人間社会、自然認識、社会認識、それらに関心を持ち続けた幼児教育観でありたいと願っています。